漆の黒は、塗料の黒とは違います。光をまっすぐはね返すのではなく、いったん奥へ吸い込んでから返してくる。セイコー プレザージュ HCC006Jの文字板は、職人が手作業で漆を塗り重ねた「漆ダイヤル」です。
デザインの源は、1913年に生まれたセイコーの腕時計作りの原点「ローレル」。そこへのトリビュートとして、ノスタルジックなアラビア数字と三日月をかたどった秒針が与えられました。コアショップ専用・流通限定のモデルです。
古い地図と製図道具のかたわらに——漆の黒が、金の数字を静かに際立たせる。
Tシャツの腕にも——横約39.6mmのケースは、着る服を選ばない。
金のアラビア数字と、三日月をかたどった秒針の先端。
漆の黒に浮かぶ「AUTOMATIC 3 DAYS」——針の袴には鏡面仕上げ。
■主な特徴
- プレザージュ クラシックシリーズ「クラフツマンシップ」の漆ダイヤルモデル
- セイコーの腕時計作りの原点「ローレル」デザインへのトリビュート
- ノスタルジックでアイコニックなアラビア数字のインデックス
- 秒針および時分針の袴部分に鏡面仕上げを施し、針の存在感を強調
- メカニカル自動巻(手巻つき)キャリバー6R5H、24石
- 最大巻上時 約72時間持続。24時針つき
- ケースの縁を薄くし、ダイヤルの美しさを際立たせた新規ケース
- 牛皮革のオイルレザーストラップ(LWG認証レザー)。ポーチ付
- コアショップ専用・流通限定モデル
■スペック
| 品番 | HCC006J |
|---|---|
| ブランド | SEIKO(セイコー) |
| シリーズ | プレザージュ クラシックシリーズ(クラフツマンシップ 漆ダイヤル) |
| 駆動方式 | メカニカル 自動巻(手巻つき) |
| キャリバーNo. | 6R5H |
| 精度 | 日差+25秒〜-15秒 |
| 駆動期間 | 最大巻上時 約72時間持続 |
| 石数 | 24石 |
| ケースサイズ | 約46.8×39.6×12.4mm(縦×横×厚) |
| 重さ | 約82g |
| ケース素材 | ステンレスケース/裏ぶた:ステンレスとサファイアガラス |
| バンド素材・タイプ | 牛皮革(オイルレザー・LWG認証)/ワンプッシュ三つ折れ方式 |
| バンド幅 | 約20mm(最大) |
| 腕周り | 約14〜19.5cm |
| ガラス | デュアルカーブサファイア(内面無反射コーティング) |
| 防水性能 | 日常生活用防水 |
| 耐磁性能 | あり |
| 文字盤カラー | ブラック(漆ダイヤル) |
| ベルトカラー | ブラック |
| 機能 | 24時針つき/秒針停止機能 |
| デザイン特徴 | 漆ダイヤル/シースルー・スクリューバック |
| 原産国 | 日本製 |
| 付属品 | 保証書・専用ボックス・ポーチ |
| メーカー保証 | 三年保証 |
| 発売 | 2026年9月 |
漆という選択
この時計を語るうえで、まず文字板です。公式のスペック表には「漆ダイヤル」とだけ書かれていますが、その下にこう添えられています。「文字盤は手作業により漆塗を施されています。そのため商品により色調の差や漆特有の微小な窪みなどが見える場合があります」。
工業製品としては、めずらしい注意書きです。ふつうなら個体差は避けるべきものとして扱われます。ところが漆の場合、その差こそが手作業の証になる。同じ品番を2本並べても、まったく同じ黒にはならない——そういう文字板なのです。
写真で見る限り、盤面は吸い込まれるような深い黒です。表面がわずかに湾曲しているのか、光の当たる角度で明暗の境目がゆるやかに移動します。そこに金色のアラビア数字が乗ることで、黒はより深く、金はより明るく見える。漆を選んだ理由が、この対比にあることは想像がつきます。
「ローレル」へのトリビュート
商品説明はこう始まります。「セイコーの腕時計作りの原点となる『ローレル』デザインを、豪華絢爛な世界観を持つ漆ダイヤルを採用し、Cal.6R5Hでトリビュートしたモデルが登場」。
ローレルは、セイコーが手がけた最初の国産腕時計です。その意匠を現代に持ってくるにあたり、インデックスにはアラビア数字が選ばれました。公式の言葉を借りれば「ノスタルジックでアイコニックな印象が永年愛されてきた」書体。均一な棒状のインデックスとは違い、数字そのものに表情があります。
針にも仕掛けがあります。秒針の先端は三日月をかたどった形で、中央から伸びる細い一本の先だけが小さく開いている。さらに「秒針および時分針の袴部分には鏡面仕上げを施し、針の存在感を際立たせています」とのこと。袴とは針の付け根の部分で、ここが光ることで針全体が浮き上がって見えます。
82gという軽さと、39.6mm
ケースは縦約46.8mm、横約39.6mm、厚み約12.4mm。重さは約82gです。革ベルトとの組み合わせとはいえ、機械式の時計としてはかなり軽い部類に入ります。
ケースについては「Classicシリーズのデザインコードを落とし込んだクラフツマンシップ用の新規ケースです。ケースの縁を薄くすることで、ダイヤルの美しさを際立たせています」と説明されています。ベゼルを細く見せて、その分だけ文字板を広く見せる——漆を主役にするための造形ですね。
着用写真を見ると、Tシャツの腕にも自然に収まっています。ドレスウォッチ寄りの顔立ちですが、39.6mmという横幅と82gという軽さのおかげで、かしこまった場面だけの時計にはなっていないのが良いところ。腕周りは約14〜19.5cmに対応します。
6R5Hと、3日間
ムーブメントはキャリバー6R5H。メカニカルの自動巻で、手巻きにも対応します。石数は24石。文字板にも「AUTOMATIC 3 DAYS」と記されているとおり、最大巻上時の持続はおよそ72時間です。
金曜の夜に外して、月曜の朝にまだ動いている。機械式時計を何本か持っている方ほど、この差のありがたみが分かるのではないでしょうか。日差は+25秒〜-15秒。6時位置には24時針のサブダイヤルが配され、盤面に程よい変化を与えています。
裏ぶたはシースルー・スクリューバック。サファイアガラス越しにムーブメントが見えます。ストラップは牛皮革のオイルレザーで、公式は「使い込むほどに味わいが積み重なる」と表現しています。LWG認証を受けた革が使われている点も、いまの時代らしい配慮です。防水は日常生活用防水ですから、水仕事や入浴の際は外してください。
■こんな方におすすめ
- 漆や蒔絵など、日本の伝統技法に惹かれる方
- 手作業ならではの個体差を「味」として楽しめる方
- アラビア数字のクラシックな文字板が好きな方
- 40mm以下で軽い機械式を探している方(約82g)
- 週末に外しても止まらない一本が欲しい方(約72時間)
- 流通限定モデルの希少性に価値を感じる方
■バイヤーの一言コメント
黒い文字板の時計はいくらでもあります。それでも漆は別物です。塗装された黒が「面」だとすれば、漆の黒は「層」に見える。光が表面で止まらず、少し奥まで入ってから戻ってくる感じがあります。
正直に言うと、この良さは写真では半分も伝わりません。公式が「色調の差や漆特有の微小な窪みなどが見える場合があります」とわざわざ断っているくらいで、1本ずつ表情が違うのです。均一さを求める方には向きませんが、そこに価値を見る方には代わりのない一本になります。約82gと軽く、横39.6mmと小ぶりなので、着けていて疲れないのも良いところ。姉妹モデルに琺瑯ダイヤルのHCC005Jがありますので、白と黒で迷われるのも楽しいと思いますよ。
— ななぷれバイヤー フジムロ
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■関連モデル
同じクラフツマンシップには、琺瑯(ほうろう)ダイヤルのHCC005Jがあります。
こちらはホワイトの文字板で、12時のインデックスに「紅12」として愛される赤色を採用しています。
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